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2.
時計を見ると0時を過ぎようとしていた…
「おや?」
俺の時計はアナログ式で…
通常より長針の動きが速く長針と短針の重なりがわずかに思えた?
「秒針が無い時計だからだろうか?」
俺は誰に話す訳でもなく独り言を呟いた。
しかし、身体の悪寒は治る事なく…
「なんだこの恐怖は?」
俺は再度独り言を呟き…
怖れをこらえて周囲を見渡してみた。
すると、向こう側のホームに電車が着いていた、誰も降りる様子がない…
俺が降りた駅ホームは殺風景であり…
全く検討が付かない駅であった。
しかし、このままでは…
俺は重い足を動かして改札口に向かった。
「カッン…カッン…カッン…」
俺の靴音だけが響きわたっていた。
そして、改札口に着く…
そこはひと気がなく、出口付近に乗務員の控室か小部屋があることに気づいた。
俺はノックをしてドアノブを回した…
しかし、しっかり鍵がかかっていて…
俺はドアの外から話し掛けてみた。
「ここは何処ですか?」
「電車はあるのですか?」
すると…
『もう電車はない・・・』
ドアの向こうから無機質な声で誰かが答えた。
その声は…
人の声か?
録音された声か?
はっきり聞き取れない?
だがその声を聞いた直前…
食道から胃へと不快な物が通過したような感じがした。
俺はそれ以上の事を聞く気になれなくなり…
その場に座り込んでしまったのであった。
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