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スパン! 君の矢が勢いよく的を射た。 その瞬間だけ時間が止まった気がした。 君は私の方になんて目を向けないで、ただひたすらに的を睨んでいた。 風が静かに吹いて、緑色から色を変える鮮やかな葉を運んでくる。 君はオレンジ色に包まれて、また形を取った。 うち起こし、大三、引き分け… 無駄な動作など、ひとつも見当たらない。 誰が見ても「美しい」と言えるであろう。 君が再び的を射る瞬間を、私は瞬きもせずに睨んだ。 私の口の中に、錆の味が広がった。
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