結末

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 一度だけ、二人はこんな話をしたことがある。 「ねぇママ、パパは悪い人なの? 僕たちはどうして、こんなに悲しい思いをしなきゃいけないの?」  フラウはレディンが消えてから、弱音をほとんど吐かなかった。吐いたとしても、レディンを責めたりしなかった。  ニネットは逆に不安に思ったが、状況を分かっていないのだろうと安易に見ていた。だが、違うとその時知った。 「フラウ、パパはね、フラウや皆を助けたかったのよ。皆は分かってくれないけど、パパは頑張ったの」 「パパ、頑張ったんだね?」 「うん、だから私たちだけはパパのこと信じてあげようね」 「分かったよ。僕、パパを信じるよ。だって大好きだもの!」  全貌を知る人間は、ニネットを除き誰もいない。エトビアの人類全員が、レディンを悪人にする。  それでも二人は信じると決めた。正解か不正解かは分からなくとも。一生、報われなくとも。  自分達を守ろうとしてくれた愛する人を。
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