大空

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 人工物(フィルター)には厳重な管理が求められる。その職務に携わっているのが、父であるレディンと母であるニネットだった。それもツートップという重役を担っている。 『Yブロック、本日も異常ありません!』  スピーカーから声が広がった。全部で二十五回分の報告を聞き、自分達の目でもチェックをする。それが二人に与えられた主な仕事だ。  と言っても、室内作業がメインゆえ、カメラを通してのチェックになる。  隙間から漏れがないか、また老朽化していないかなど、常に目を光らせなければならなかった。  フィルターは幾つかのブロックが集まり、一つの物体として成り立つ建築物だ。  映像のないフィルターは、小窓を繋げたような外形をしている。実際、窓のように開閉も可能だ。  とは言え、年一の外側掃除でしか開かれない。その他の開放は、法で固く禁じられていた。
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