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 点検作業を終え、資料を製作する。気付きや終了時間などを記録しておくのだ。  この作業を済ませ、カメラでの最終確認。それから、朝の出勤者に引き継げば帰宅できる。愛すべき我が子の待つ家へ――。 「ねぇ、レディン。この辺りの映像、何か変じゃない?」  監視カメラは常に起動中だ。全ての点検が終わった今、映像は格子状に並んでいる。  ニネットは、ふと見た映像に違和感を覚えていた。それも、あの点検員と同じ違和感だ。ほんの些細な、けれど確かな違和感。 「言われてみれば、この辺りだけが明るいな」  並ぶ映像の、一部だけが他より明るくなっていた。映すものは変わらない。しかし、確実に色味が違った。  数時間前の一件が、二人の脳裏に蘇る。妙な胸騒ぎを覚えたため、一応カメラを動かしてみた。  すると、そこには衝撃的な光景があった。 「なんだこれは……火?」  映されたのは、燃え盛る炎だった。見たことのない光景に、重苦しい静寂が満ちる。  上空からのカメラでも、明確に捉えられるほどの火だ。かなりの大きさであると分かる。  呆然と見ていた二人だったが、ニネットがあることに気付いた。途端に冷や汗が溢れだす。それを見たレディンも同じことに気が付いた。 「フラウは!? フラウは大丈夫なの!?」  パニック状態のニネットを横に、全てのカメラの視点を下げる。映されたのは悲惨な光景だった。  炎は、町の一部を飲み込み燃えていた。大火災だ。静まる様子もなく、じわじわと範囲を広げている。  自宅を含んでいるブロックへと、勢いよく視線を向けた。映ったのは、まだ静かに眠る地だった。 「家までは届いていない……でも!」  自宅付近は現段階では無事だ。しかし、数分もすれば火の手が回る――そんな所にまで迫っていた。
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