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このままではフラウの命が危ない。危機感に襲われるも、どうすべきか分からなかった。
今すぐ部屋を飛び出し、フラウを助けにいくべきだ。でも、責任者である自分が、中途半端に仕事を投げ出せない。
そもそも、地上の件に口出しすべきではないのでは。いや、今は信じられる状況じゃない――。
様々な思いが、レディンの中に押し寄せる。
全ての状況を把握できない状態では、最善の判断などしようがなかった。
「何でこんなことに……! 地上部には連絡したんでしょう! ねぇレディン、私たちはどうすれば……!」
ニネットも、同じく立ち往生していた。空の人間であるお前たちに成す術などない。そう突きつけるように、炎は広がり続ける。
「……したよ、けど消火剤じゃ間に合わないんだ……」
小火程度の火災なら、人工消火剤で十分だ。実際、今まで火災がなかったわけではない。
しかし、広範囲における火災はフィルター設置後初めてだった。存命している全国民にとって、未経験の事態なのである。
「そんな……」
全てを焼き尽くすか、自然鎮火するか。どちらかを待つしか道はない。
画面に映された現実が、そう本能へ突きつけてきた。消火剤での鎮火は恐らく見込めない。
そうなれば、フラウのみならず、エトビア全土が死滅することになりかねない。
それを打開するには――。
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