一章 Amantes,amentes.

15/17
前へ
/44ページ
次へ
 死んでいる相手に吐き捨て、マガジンを交換。敵がいないか部屋を見回した。 「あーーーーーーーーっ!?」 「ひぃっ!?」  突然叫びだしたノアに驚き、カノシタの体が跳ねた。 「ノアのコートが台無しになってるぅーーーー!?」  ノアが駈け寄ったのは、壁に掛けていた自分のコート。清純さを纏うような白いコートは、先程の銃撃戦の最中、無残にも流れ弾で穴だらけになっていた。 「マジサイアクなんだけど!」  穴だらけのコートを抱き締めて悲哀に満ちていると思ったら、今度は拳銃をカノシタに向けた。 「買って貰ったお気にのコートだったんだけどっ!?」 「俺じゃなくね!? それ俺じゃないでしょどう見ても!」 「うっさい変態! ザコ虫!」  まったく状況が読めない中で、ヒステリックを起こされてカノシタはどうしていいかわからない。なんだこのクソガキ、情緒不安定じゃないか。  どうなるのか考えられない中、ノアは深呼吸して落ち着きを取り戻して拳銃を下ろした。コートとナイフをベッドに置き、床に転がっていた自分のアイフォンを取った。  画面が割れていないことを呟き、どこかに電話をかけた。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加