一章 Amantes,amentes.

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 男達の意識がカノシタに向けられた僅かな隙を逃さず、倒れたソファに隠れていたノアが、右手にマガジン交換を終えたグロック拳銃と、左手にベンチメイド製ニムラバスナイフを逆手に持って飛び出した。  片手が使えず、左手の甲に置くように拳銃を支えて撃つ。一人の頭を撃ち抜いた。  仲間が殺された死体を蹴り飛ばした。が、ノアは助走をつけて蹴り返す。死体が被さって動きが取れなくなった男を、死体ごと撃ち抜いた。  最後の一人がカノシタからノアに構え直す。狙いを定めて引き金を引いていた時には、既にノアはそこにはおらず、体勢を低くして男に向かっていた。  フォアエンドをスライドさせる。銃口がノアの額につくほどに近い距離だった。  ノアは笑っていなかった。男は勝ったと笑い、引き金を引く。  。  銃声もせず、スラグ弾も出ず、小さな金属音が鳴っただけ。 「弾数ぐらい数えるのが基本でしょ」  ナイフでショットガンを弾き返し、間抜けな男の顔に9ミリ弾を数発撃ち込んだ。倒れているが、残りの死体の頭にも同様に撃った。 「雑ぁ魚!」
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