一章 Amantes,amentes.

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「…………あー。ノアだけどぉ」  ──切り替えのプロかよ。  今までのドスがきいた声はどこへやら。砂糖をぶち込んだような甘ったるい喋り方に戻したノアを見て、思わず凄いと思ってしまった。 「あのねぇ。言われた通りに会ったんだけどぉ、文書持ってないどころか、話通じない宇宙人さんなんだけどぉ」  ──誰が宇宙人だ。俺が宇宙人だったら、常識の通じないお前らは異世界人だぞ。 「それでぇ、なんか怖い人達もやって来てぇ。ノアが全員殺しちゃったからいいんだけどぉ、この後どうすればいいのかなぁ、って思ってぇ。────え? マジで? ……うーん。そう言うならノア信じるけどぉ。わかったぁ。後で連絡ちょうだいねぇ。ばいばぁい」  一瞬、素に戻ったのが気になったがカノシタは言わなかった。余計なことを言って撃たれたくなかった。 「…………はぁ」
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