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宮原は急いでいた。今日は高速道路をドライブする予定だったのに。寝坊してしまい、出発するのが遅れてしまった。仕事ではなく、趣味で向かうのに。時間通りに出発できなかっただけで、これだけ騒いでいる。生活には、何の問題がないのに。
「時間がないなー」
宮原は車のデジタル時計を気にしている。今日はあそこまで行きたいのに。このままでは遅れてしまう。早く行かなければ。宮原は制限速度ギリギリで走っていた。だが、本当はそれ以上で飛ばしたかった。だが、スピード違反はしてはいけない。
走り始めて約十分、宮原は高速道路に入った。ここからは時速100kmの区間だ。早く向かわねば。宮原は高速道路に入る直前、高速道路をチラッと見た。高速道路にはそこそこの車が通っている。その中に家族連れもいる。早く自分もこんな家庭を築きたいな。だけど、それはまだ先の事だ。もっとお金を貯めて、いい女と付き合って、結婚しなければ。
宮原は高速道路を100km近いスピードで走っている。とても快調だ。これなら目的地にたどり着けるだろう。次第に宮原はいい気分になってきた。早く走れるだけで、こんなにもテンションが上がってしまうのは、どうしてだろう。気持ちいいんだろうか?
だが、走っていると、ある車が気になった。その車は比較的ゆっくりと走っている。宮原はその車が目障りでたまらない。早く進んでほしい。こっちは急いでるんだ。次第に宮原はイライラしてきた。
「あの車、うっとうしいなー」
宮原はクラクションを鳴らした。だが、車はスピードを上げようとしない。慎重に運転しているようだ。
「おい! 早く進め!」
だが、車はスピードを上げようとしない。次第に宮原はイライラしてきた。あの車、ムカつく。
「進めったら!」
すると、車はスピードを上げた。宮原は少し笑みを浮かべた。自分の願いを聞いてくれたようだ。だが、車はその先の緩いカーブを曲がり切れずに高速道路の高架から転落した。だが、周りの車は騒がない。どうしてだろう。
「くそっ、落ちやがって・・・」
宮原はその様子を冷たい目で見ていた。へたくそな運転だからこうなったんだ。仕方がない。俺は運転が得意なんだ。お前とは違うんだ。
「まぁ、いいか」
宮原は何事もなかったかのように進んでいく。あんな車、どうでもいいや。俺は俺なんだ。
夕方になり、宮原は同じ道を走っていた。高速道路は比較的すいている。行きよりも車が少ない。みんなゆっくり帰っているんだろうか?
「さて、帰ろうか」
宮原は高速道路を飛ばしている。帰ったらおいしい晩ごはんだ。今日は何だろう。楽しみだな。
「帰ったら飯だ飯だ」
宮原はふとサイドミラーを見た。すると、今さっき、あおり運転で転落した車と同じ車が走っている。
「あれっ!?」
宮原は驚いた。あの車に再び遭遇するなんて、偶然だろうか? それとも、同じ車に乗っている人と偶然遭遇したんだろうか? 宮原は一瞬、ゾクッとなったが、気っとたまたま同じ車なんだろうと思うと、ほっとした。
「あの車、何だろう」
だが、宮原はナンバープレートを見て、信じられないような表情になった。あおり運転で落ちた車と同じナンバープレートだ。そんなはずはない。あの時落ちたはずだ。どうしてその日の夕方に普通に高速道路を走っているのか?
「えっ、今さっきあおった車? そんなわけないよな」
だが、宮原は疑っている。転落したのに、どうして走っているんだろう。きっと俺は夢を見ているんだ。これは悪い夢なんだ。
「あれ? あおられてる?」
と、宮原は何かに気付いた。自分はあおられているんじゃないか? 自分があおり運転をした後に、まさか自分があおられるとは。まさに因果応報だ。そんな事しなければよかった。だが、もう遅い。
「くそっ・・・。飛ばしてやる!」
宮原は一気にスピードを上げた。だが、その車は追いかけてくる。そんなにも急ぐなんて。何だろう。
だが、宮原は緩いカーブを曲がり切れず、高架から転落した。落ちている間、宮原は焦っていた。
「うわぁぁぁぁぁ!」
宮原は高架から転落した。ほぼ即死だった。偶然にも、あの車と同じ場所に転落した。だが、そこにはあの車はない。
そして、宮原の車をある男が見ていた。その男は、転落した車の運転手の幽霊だった。
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