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ただし!
誤字報告する際に、これは注意した方がいいと個人的に思うことをいくつか述べておきます。
①本当に誤字ですか?
まずは例を。
『その儚さは、まさに一炊の夢だった』
これを見た瞬間、私は、「お、誤字かな?」と思いました。
そう、『一睡の夢』ではないかと。
さて報告するか、と思いましたが、いや待て一応……と調べてみたところ、『一炊の夢』で正しかったと知りました。
思い込みとは怖いものです。どんなときも、一度調べてみましょう。辞書を引くなりネットで調べるなりしましょう。
間違いであれば、報告してあげてください。正しければ、よい勉強になります。
②どちらでもよい言葉に注意
これも例を。
『本当に気を使う仕事である』
さて、『気をつかう』の『つかう』ですが、『使う』『遣う』のどちらでも正解です。にもかかわらず……
「でも『気づかい』は『気遣い』じゃん。だから『気をつかう』は『気を遣う』の方がいいでしょ。教えてあげよ」
みたいなことになると、お節介の域となり余計なお世話になりかねません。どちらでもよい言葉は、そのままにしておくことも大事と思います。ただし、
『今日は本当に熱くて嫌になる』
これは、『熱くて』ではなく、『暑くて』が正しいので、こういう場合は報告してあげたらよいと思います。
明らかな間違いは教えてあげて、どちらでもよい言葉はそのまま、それがよいと思います。
③表現にまで踏み込まない
なんのこっちゃ、これまた例をいくつか。
『そこには大きな花が咲いていた』
この例に誤字はありません。が、これを見た人の中には……
「『大きな花』より『大輪の花』の方が壮大な感じでいいんじゃないかな」
と思う人もいるかもしれません。
表現は人によって千差万別です。
書き手は、「『大きな花』と『大輪の花』で迷うけど、大輪の花だとなんか堅苦しいから大きな花にしよう」と悩んだ末に選んだ表現かもしれません。
それを、「いや大輪の花の方がいい」と言ってしまうと、書き手は再度迷って悩んでしまうかもしれません。
もうひとつ例を。
『その竜の鱗は岩のように硬く』
これも誤字はありませんが……
「『岩』より『鋼』の方が硬そうじゃない?」
さてどうでしょう。確かに現実では岩より鋼の方が硬いかもしれませんが、小説はだいたいがフィクションです。
某モンスターを捕まえるゲームにも『いわタイプ』と『はがねタイプ』がいますよね。この書き手はいわタイプ愛好家なのかもしれません。『鋼』より『岩』の方が硬いと信じてやまない人なのかもしれません。
そこを指摘するのは、野暮ってものです。
あくまでも『誤字』を報告するにとどめ、『表現』にまで踏み込むのはやめておいた方が無難です。
ちなみに私は、過去に『表現』まで踏み込んだことが何度かあります。そのときはかなり悩んだ末に報告しました。
とある一例を。一部表現は変えています。
『男は両手で構えた拳銃を乱射した。化物たちがなぎ倒される。右手の拳銃の弾が切れるとそれを捨て、男は新たに背中からライフルを掴み取った』
結論として、これは『男が両手の二丁拳銃を乱射し、弾切れになった右手の拳銃を捨てライフルを取るシーン』です。
注目すべきは一番最初の、『両手で構えた拳銃』の部分。
読み手によっては、『一丁の拳銃を両手で構える』と『二丁の拳銃を両手で構える』の二通りに取れると思います。ちなみに私は前者で、後段の『右手の拳銃の~』を見て初めて二丁拳銃だったと気づきました。
ここで私は、
「二丁拳銃ということが最初からわかるように、『両手に構えた二丁の拳銃を乱射した』や『二丁の拳銃を両手で構えて乱射した』の方が良いと思います」
という報告を送りました。幸い、先方からは好意的な返信をいただきましたが、送る際は送るべきか否かだいぶ悩みました。もしやすると要らぬお節介になるかもしれないからです。
ですので、繰り返しになりますが、あくまでも『誤字』報告にとどめておいた方が良いと思います。
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