翌日

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 少しモヤモヤしながらも一日の探索を終え、私が所に戻ったのが十六時二十分。しかし、なんだか場の空気がいつもと違う気がした。今朝の慌ただしさともまた違う、普段と比較して余りにも静かなのだ。  それでも私は平静を装いながらその空気の中へと飛び込んだ。 「ただいま戻りました」  通常通り、誰に言うでもなく声を掛けながら戻ったが、誰一人顔を上げようとしない。  言いようのない不安に駆られ一瞬硬直してしまったが、気を取り直して真っ直ぐにまさみさんのデスクへと足を進め、その前に立った。 「お疲れ様です」  いつもならここでまさみさんも顔を上げながら「お疲れ様」と返してくれるのに、今日はその顔をパソコンに向けたまま、こちらを見ようとしない。もしかしたら例の電卓が誰かの机から見つかって、課長のカミナリが落ちた直後なのかもしれない。そういうことならこの雰囲気にも納得がいく。  私は恐る恐るまさみさんに聞いてみた。 「あの、電卓は見つかったんでしょうか」 「‥‥‥」  こちらに視線を向けないまままさみさんは無言だ。 「まだ見つからんのだよ」  代わりに答えたのは課長だった。  変わらず課内は静まり返っている。私はいたたまれなくなってそれ以上何も聞かずに自分の席に座った。
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