翌日

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 蒼かった顔が急速に紅潮していく。はたから見たら私の顔は歩行者信号かって位に顔色が変化していたんじゃないだろうか。  憮然としながらその電卓を手に取り裏を見ると、そこにはしっかりと「高梨」のテプラが貼られていた。それをそのまま無言で課長に返すと、私は市役所全域に響き渡るんじゃないかって位に大きな音を立てて席に腰を下ろした。  口を開けば悪態しか付けそうになく、無言で書類をまとめていると、まさみさんが声を掛けてきた。 「ゆきこさん、ごめんね。私からも謝るわ。課長の暴走を止められなくて」  私は黙々と書類を書き続けた。今顔を上げたら、なんだか泣きそうだ。 「これに懲りて、辞める‥‥‥なんて言わないでね」 「いや、辞めるって、そんな大げさな」  張本人である課長に口を挟まれて、私は耐えきれなくなって勢いよく顔を上げた。 「辞めていいのなら、辞めますよ!」  流石にこの一言には課長も焦ったようだ。でも私の気持ちは収まらない。
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