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世界
小学校から今まで。悪さをしては走って逃げまくってきた。俺の速さには誰も追いつけず、俺はすっかり天狗になってた。
だが、高校に入ってから俺の運命が変わった。
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「まてコラァ!! 弁当返せぇ!! 」
陸上部だかなんだかの部員から弁当をひったくり、絶賛逃亡中。しかし、ただの陸上部員が俺に追いつけるはずもなく。
「ハッハー! 追いつけるもんなら追いついてみなー! 」
俺が世界で一番速い。そんな脆い幻想を抱いていた。しかしそれは、ヤツによって砕かれた。
俺がひったくって持っていた弁当を、誰かが後ろから走ってきてひったくったのだ。
「は、ハァッ!? 」
俺の前に人がいる。その事実に目を疑った。
しかし、ヤツは俺の前に立っていた。
「......最近、校内を走り回っているのはお前だな? 」
真面目そうに制服を着こなし、真面目そうな顔で俺を見ている。オマケにメガネまでかけている。
「たぶん俺だけど......」
おそらく生徒会役員だろう。俺のことを先公にチクる気だ。そう思っていた。
しかし、ヤツはまるで見当外れの言葉を口にした。
「俺と一緒に、世界を取るぞ」
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