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「俺は早坂からなんでこの高校に転校してきたかを聞いて、お節介かもしれないけど、告白ゲームをしようって言ったんだ」
「どういうことだ?」
「三ヶ月経ってもろくに話もできないって早坂が言うから、告白ゲームってことにすれば早坂もやりやすいかなと思って、あんなことを言って早坂を突き飛ばして乃木にぶつけたの!」
「ん?!」
「でもさ、すぐに『そんな乃木を騙すようなゲームはしたくない』って早坂に断られた。『自力で頑張るから』って早坂が言うからゲームの話はなくなったんだよ」
「えっ……」
告白ゲームじゃなかった。
ということは、早坂は本心で俺に近づいてきていたのか……?
一緒に帰ろうって声をかけてきたのも、ゲームの攻略のためじゃなく、本当に俺と一緒に帰りたかったから?
「可愛い」
「乃木のこともっと知りたい」
「好きだ」
あのとき繋いだ手も、キスも、告白だって全部ゲームのためじゃなかった……?
「嘘だろ……?!」
早坂は真摯に向き合ってくれたのに、それに対して俺は何をした?
スポドリ買ってこいと早坂をパシるところから始まって、毎日迎えに来いだの、メール寄越せだの、何を偉そうに……。
早坂は相当辛かったんじゃないのか?!
それなのに、俺に「好きだ」って告白してくれた。
その告白すら、俺はきっぱり拒絶した。あのとき早坂はどう思ったのだろう。
「嘘だろ……」
早坂に悪いことをした。謝っても許されないくらい、酷いことを。
告白ゲームは初めからなかった。
それなのに今日、早坂は俺を迎えに来なかった。そのことが、早坂の答えに違いない。
早坂は俺のことをついに嫌いになったんだ。
嫌われて当然だ。あんなに早坂に意地悪ばかりして、いくら優しい早坂でも限界ってものがある。
「波田野、俺どうしよう……。早坂に酷いことをした。だって、だって全部告白ゲームのためにやってるんだって思ってたから……あんないい奴を俺は振り回して傷つけて……」
波田野に言っても意味のないことなのに、どうしても懺悔したかった。
「俺、早坂に嫌われた……本当は、本当は俺、早坂のこと……」
自分がやってしまったことも、時間も戻らない。
つい昨日まで、早坂は俺のそばにいてくれたのに。
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