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「俺と付き合ってくれなきゃ許さない」
あっ……と思ったときには、早坂に唇を奪われていた。
この前とは違う、舌を絡め合うような濃厚なキスだ。
早坂に腰を抱かれて身体を密着させられる。
「はやさっ……だめ……」
ダメだ。こんなところでしたら、誰がいつ通りかかるかもわからないのに。
「じゃあ俺と付き合うか?」
キスの合間に早坂が囁いてくる。その早坂の声を聞いただけでゾクゾクした。
「うん」
俺が頷くと、また早坂のキスが落ちてきた。教室じゃダメだってわかってるのに、正直今はやめたくない。早坂から離れたくない。
「でも告白ゲームって勘違いしてた乃木はちょっと可愛かったな」
早坂は俺の腰を抱いたまま、俺の顔をじっと覗き込む。
「えっ?」
「だって乃木の嫌がらせは、俺にとって全然嫌がらせじゃなかった。乃木のためならジュースでもなんでも買ってやりたいし、毎朝乃木を迎えに行くのだって願ってもないことだ。メールだってくだらないことでもなんでもたくさん送りたいと思うし、手を繋いで欲しいって言われたとき、俺は飛び上がるほど嬉しかった」
あれ……。一生懸命早坂に意地悪をしていたつもりなのに、全部早坂を喜ばせてたのか……?
「カフェで俺に間接キスを許してくれたのも嬉しかった。帰り道に、乃木をおんぶしてるときも、乃木と合法的に身体をくっつけられるから、めちゃくちゃ嬉しかった」
やっぱり。俺の嫌がらせがとことん早坂には響いていなかったんだ。
「乃木。好きだ」
早坂のあまりの勢いで、俺の身体はふたつ繋ぎになっている机の上に押し倒された。早坂は遠慮なしに、俺の上にのしかかってくる。
「昨日、乃木が言ってただろ? 今すぐ抱いてくれって。そしたら俺の告白を受けて、付き合ってやるって。だから俺は今から乃木を抱く。お前と恋人同士になりたいから」
ん……?
「待て待てっ、だから昨日までの俺はずっと告白ゲームをしてるって思ってたから、あんなことを言ったんだ!」
抱いて欲しいって言ったのは、早坂に対する嫌がらせだ。早坂が絶対にできないことだと思って言った言葉でまさか本当に今すぐ抱いて欲しいなんて思っていなかった。
「ごめん。もう止まれない」
「はい?!」
えっ?! ここは教室だし、なんなら廊下を歩いている人影が見えるくらいなんですけと?!
「乃木の可愛いところ、もっと俺に見せて」
「あっ……こらっ、早坂っ!」
ありえないって!
早坂ぁ~~~~ッ♡
——完。
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