雨よ、私を染めて

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 最初の頃、何故自分がいじめられるのか分からず本当に辛かった。それこそ、死んでしまいたくなる程だった。  両親にも相談したが、仕事に人生を捧げている二人は私に関心など持ち合わせておらず、ただ一言、我慢しなさい、面倒事は起こすなとだけ言った。  我慢してもいじめが無くなる事は無かったが、いつからか、辛いと思う事は無くなっていた。  昼休み、私は自分の鞄を持って教室を出た。今日は校舎裏のゴミ置き場で昼食を取った。同じ場所に何回も通うといずれ居場所がバレて面倒な事になるので、昼休みは毎日違う場所で過ごす事にしている。  午後の授業が始まり、やがて放課後になると、私はクラスメイトに腕を引かれて空き教室へと連れて行かれた。抵抗すると殴られたりもっと酷い目に合うのでおとなしく従う。  空き教室の廊下側の窓とドアのガラス部分には新聞紙が貼り付けられていて、内外の様子は確認できないようになっている。  今日は何をされるんだろうか。ひたすらお腹と背中を蹴られたり、髪の毛を切られた事もある。きっと、今日も酷い事をされるのだろう。  空き教室に連れ込まれてから数分後、教室のドアが開いて数人の男子生徒が入ってきた。ドアの鍵が閉められ、男子生徒たちの視線とスマホのカメラが私に向けられる。  なるほど、私はこれからされる事を静かに理解した。
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