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ぽっかりと空洞になった場所へ、昨夜の出来事が知らぬ間に満ちる潮のように入り込んでくる。
他に相手がいたっていい。
碧にキスする前にそう口にしながら、そうじゃないだろうと思っていた。それでも自分を止められず、大事にしていたものを壊してしまった。彼を傷つけた。
後悔はすぐに消えない。ちりちりと苛立ちが湧き、逃げ出したくてもできない。
園田は黙々と手を動かした。
ウェスにつけたクリーナーで汚れを拭き取る。薄い膜が張ったようだった表面が少しずつクリアになっていった。クリームを全体に塗り込み、馴染むよう硬めの毛でブラッシングする。三足もこなすと腕が疲れる。それでも手を止めず作業を続けた。
仕上げにウェスでクリームを拭き取った。乾くまで並べておくことにし、玄関の明かりを消した。
部屋はもう薄暗く、窓には淡くオレンジの西日が差していた。
園田は軽く背中を伸ばし、鞄を下げスニーカーを履いた。外の空気を吸いたくなった。
特に当てがあるわけでもなく、足が自然と商店街のほうへ向かった。
花屋を通り過ぎる。向かいの歩道から目をやると真帆が女性の接客をしていた。
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