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1,イヤだ!読書感想文なんて大キライ!
にぎやかな声が教室中にひびきわたる。
もうすぐ夏休みがちかづいている、この瞬間をまっていた!
俺、二宮利人はワクワクしながら自分の席にすわる。
だって夏休みだぜ、夏休み。
俺には、たのしみにしていることがあった。
「なあ、きいたか? あの新作がついに発売されるんだろ?」
「そうそう! やっとできるよな。はやくやりてぇ」
「ああ。【トリバ】がついにだろ? キャラがカッコよくて声優もサイコーだよな!」
そうだ、彼らのいう【トリバ】略して【トリックバースト】。
主人公が特殊能力を使って魔界からやってきたモンスターを倒すアクションゲームだ。
「もちろん、二宮もやるよな?」
「あたりまえだろ! この日のために家の手伝いをがんばったんだ」
「ということは買ってもらうんだろ?」
「ああ! マジで楽しみだぜ」
女子どもがイヤな顔したり、あきれている。
彼女たちは人気アイドルアニメの【マジカル★キャット】で大盛りあがりだ。
「アイツら、またあの話をしてる。でも! うちらは【マジキャ】一択だよね」
「そうそう。キューチューバ―もお墨付きで歌ってみたも再生数爆上りだし」
「ね? アリアもさすがに知っているよね」
「わ……わたしは。習い事してるから別に興味はないかな」
金髪にきれいな青い瞳が目立つ。
音城アリアだ。
彼女は両家のお嬢様でおとなしい。
日本とイギリス人のクォーターで習い事は必ずやっている。
ま、絵にかいたようなカンペキなお嬢様だ。
俺とは程遠い存在。
「ちょっと、音城さんがかわいそうでしょ」
「えー、これって常識なんだけどなー」
「……ごめんなさい」
さすがに、あのやりとりはヒドイ。
よし、少しからかってやるか。
俺が席からたちあがろうとしたとき。
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