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水の月
際涯もなく広がる平原に
満月が照らす
夜にしか逢えない君は
ただ佇んでいた
いつもと変わらない日常に
日々退屈と嘆いていた
何も取り柄もない僕は
これからの日を考えていた時
何処からも無く現した君は
淡い羽衣を装い
僕を見て微笑む君に
胸が苦しくなるような
初めて見る格好に
初めて見る姿に
こんな気持ちが湧くなんて
何故かあの日から僕は
不思議と平静を装い
初めて会った
不純物の無い場所へ
風が戦ぎ草が舞う中に
際涯もなく広がる平原に
満月が照らす
夜のみにしか逢えない君は
俯いていた
湖畔を逍遥しながら
君を探していた
あの時から何故か
懐かしく感じてた
久しく忘れていた
解ってる、もう君は居ないのに
それでも君に逢いたくて
ふと現れた君は
僕に唇を交わす
触れる事は決してない
水の月のように
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