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ヤバい……シミしか目に入らない
更衣室でシミの話をして以降、どうにもこうにもシミのことが気になりだした私。
車に乗れば先ずルームミラーを覗き、目もとから頬かけて散在するシミを確認してしまう。
ああ……今日もシミが目立ってる。ポツポツポツポツポツ……数えきれない。
特に気になるのが、右頬に浮きでている三点ジミ。何故こんなに濃くなってしまったのか。化粧でも誤魔化せない。
「ポンポンポン♪でシミを隠せる」と、CMや広告チラシで謳うファンデーションを購入した。シミが隠れると好評のベースを探し、ランキング一位に上がる商品も試した。
が、それもイマイチ。他人の評価がどうであれ、私の期待には応えてくれない。消したい一心で重ね塗りをすれば、白浮きしたりムラができて細かなヒビが入ってしまう。
やっぱり嘘だ。一塗りでパッと隠せる魔法ファンデなんて存在しないんだ。どうせ、あれもこれも映像加工しているに違いない。世の中は誇大広告で溢れてる。
隠したい……隠したい……せめて化粧で隠したい……
щ(゚皿゚#щ)ウガーッ!!
重なる落胆。斑となった失敗メイクを見て後悔と苛立ちが募る。鏡の前でこぼれる独白は、日に日に陰鬱になるばかり。
この頃の私は憑りつかれているようでした。シミの呪いです。『 藁にもすがる思い』を身をもって経験しました。
友人の顔を見るとシミに目が向く。メイクの下に存在するシミはどの程度なのかと、推測してしまう。時に嫉妬心すら覚える。
仕事をしている最中でも、患者さんと会話しながら無意識に目が行ってしまう。意思とは無関係に。
挙げ句、脳内で声がする。「ああ、この人は私よりも5歳も上なのに、肌が綺麗だな」「この人は私よりも若いのにシミが多いな」――そんな声がする。
「私って失礼な人間だ」――そして、友人や患者さんに対して申し訳ないと自己嫌悪に落ちる。
だけど、どうにもならない。気になって仕方ない。
今までもシミを気にした時期はあったけれど、ここまで追い詰められたのは初めてでした。
正直、45歳寸前までの私は、自分の肌は同年代と比べてそこそこ綺麗だと自負しておりました。「色白だね」「綺麗な肌だね」「キメが細かくて羨ましい」とお褒めの声を頂き、「え~結構シミあるよ~」と謙遜しながらも、色白肌を誇りに思っておりました。
ところがどっこい!!
45歳を越してからというもの、シミが生まれる生まれる。色白の私は何処へ行ったのやら。そして何故か肌全体が黄ばんでしまった。驚いた私は肝臓に異常があるのではと心配し、肝機能を中心に血液検査と腹部エコーをしました。
結果は異状なし。まったくの健康体。消化器科の先生に訊いても、皮膚科の先生に訊いても、「確かに以前と比べたら黄色いかも知れないけど、視診からも検査の結果からも黄疸とは違う。それくらいの黄色肌なんて普通だよ。気にしなくて良いんじゃない?」とのご意見。
じゃあ、突然なんで肌が黄色くなったの?手のひらも足の裏もこんなに黄色くて、絶対に日焼けとは違う。みかんの食べ過ぎとも違う。
私はもともと色白だったのに――ッ!(泣)
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