ヤバい……シミしか目に入らない

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スタッフ達はこぞって「加齢だよ。原因不明は全て加齢。それも加齢による肌のくすみ。ホルモンバランスが崩れて肌質も変化したんだよ」と面白半分に言う。 加齢による肌のくすみ……大腸の憩室も老化。眼瞼痙攣も老化。耳鳴りも老化。それら全て加齢が根源だと言う。 認めたくないけれど、どこにも異常が見つからないなら、そうと自分に言い聞かせるしかない。加齢による変化は自然の摂理。分かってるのよそんなことは。 肌色の変化が出てから数年が経ちますが。今でも黄色い。見紛うことなく黄色人種。 シミも肌色の変化も、長年夜勤業務を続けてきた生活習慣の乱れが悪影響を及ぼしたのか。疲労とストレスが蓄積する業務内容に体が悲鳴をあげているのか。 四十路からマラソンに嵌り、日焼け止めを塗りまくっていたとは言え、活性酸素を多く生産し過ぎたため肌老化が促進されたのか。 その後、母が脳出血で倒れ、同時期に父が肝臓癌で他界し、怒涛の日々を送っていた時期がありました。その頃は仕事と子育てをしながら両親の介護をし、自分のことなど後回し。睡眠不足も続いていた。肌の手入れも怠り、日焼けも気に留めず自身の肉体を酷使していました。 あれもこれもと過去の生活を思い返すと、今の状態はなるべくしてなったように思えてきたのです。五十路を目前に一気にツケが回って来たのだと。 そして、そこに追い打ちをかけたのが閉経。皆は「えっ!まだ早んじゃない?」と驚くけれども、来ないものは来ない。卵巣と子宮が最後の力を振り絞って来た生理はいつだったか……確か、一年半前だった気がする。 完全に「女性生殖器さん今までありがとう!お疲れ様~(=゚ω゚)ノ」てな感じです。 閉経が来ちゃったらね、女性ホルモンの乱れでそりゃシミも増えますわ。肌もくすみますわ。食生活に気を配っても、徐々にコレステロールが上昇するし動脈硬化も促進されるし。肩こり酷いしホットフラッシュに付き纏われるし。閉経して良いことなんて一つもない。 あ、排卵痛と生理痛とおさらば出来たことだけは有難いけれど。 加齢なら仕方ない。閉経したら仕方ない。誰にでもシミはできる。人生は妥協の繰り返し。 でも、ここで諦めて良いの?諦めでこの鬱々とした気分から抜けられる? ――嫌だ。足掻きたい。まだ足掻きたい。数年間、卵巣と子宮が足掻き続けたように。 誇大広告なんかに頼らないぞ!騙されないぞ! 医学的根拠のある治療にしか頼らないぞ! 高額な自費診療は百も承知。けれど、これは毎日頑張っている自分へのご褒美だ。 シミの根本的治療。つまり、メラノサイト根絶を決意した私は旦那に断言しました。 「私、美容外科でシミ取りレーザーする。もうやるって決めたから。絶対やるから。やったるから!」 それを聞いた旦那は一言。 「はい。お好きなように」 旦那から了承を得た……と言っても、自分で稼いだお金だから反対されてもやるつもりでしたが。 そして、その一週間後―― シミ撃退!シミ打倒!駆逐シミ! 思い立ったが吉日。 いざ行かん!美容外科クリニックへ!
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