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「お前のブツで死んだんだよ、だからお前が殺したのと同じだよ」
「おかしな理屈こねんじゃねえよ、見せてみろよ俺が持っていたって言うブツをよ。えっ、俺は初音町の売人から買って、あの女と一発やりてえから安ホテルに行った。あの女はこんなでっかいガンコロ梳かして一気に打ち込みやがった。俺はフロントで救急車まで手配してやったんだ。誉めてもらいてえよ」
高崎が息巻いた。
「こいつのネタじゃないのかね、布川君」
相馬課長が布川のシャツを引っ張って小声で訊いた。
「初音町で売人から買ったと嘯いていますが、こいつはシャブの卸ですから。それに自分で遊ぶ分は持ち歩いていると女が明かしました」
布川が答えた。
「だけど見つからない、道具も見つからないじゃないか」
「ホテルから出てどっかに捨てたんですよ。ホテルから走って逃げて山下公園で追い詰めたんです。その道中のどこかで捨てたんです」
「まさか山下公園から海に飛び込んで捨てたんじゃないだろうな。こんな屑のために潜水士頼んで探すのはそれこそ税金の無駄遣いだな」
「いえ課長、山下公園に入る前には捨てていますよ」
中西が口を挟んだ。
「ほう、聞こうじゃないのその根拠、中西班長が瑞穂ふ頭でフルチンの話は訊いたよ。さぞかし立派なモノを下げているらしいじゃないの」
吉野がべらべらと話していた。
「先ず、奴が逃げたのは南仲通のビジネスホテルです。後ろから追われているのは気付います。気付いていて持ち歩くことはしません。最悪逮捕されても身軽になっていれば印象が違います。あいつは所持の前がありますが、今回も遊びで打ったなら1年半で出て来ます。山下公園まで逃げる前に捨てたとみるのが常道です」
「しかし君の常道がフルチンじゃないかね、悔しかったら探してこい」
相馬が出て行った。
「あの野郎、だから大学出は嫌いなんだよ」
小野田が相馬の後ろ姿にパンチを浴びせた。
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