都橋探偵事情『箱庭』

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「よし、課長の言う通りだ。ブツが無けりゃ始まらねえ、ごみの回収が始まる前に探す」  中西がジャージに着替え始めた。小野田も嫌々着替える。 「おい吉野、スーツで行くと生ごみで臭くなるぞ」  中西に言われ渋々着替え始めた。 「おい、人殺しの証拠探しだ、暇な奴はついてこい」  中西が号令を掛けた。居残っていた5人が仕方なく参加した。高崎が逃げたホテルからスタートした。 「いいか、ここを出て途中見失い、再度高崎を見たのが県民ホールだ。あいつの頭にはハナから山下公園があった。漁師の倅で泳ぎは得意、飛び込んで人口島に逃げようと考えたんだ。夜だから島の灯が良く見える。目標ありきだから恐くない。あいつは県民ホールの前で捨てている」 「どうして県民ホールの前で捨てたって断定出来るんですか?」 「捕まるのを覚悟したからだ」  中西が答えた。 「よし、掛かれっ」  小野田が号令を掛けた。 「おい吉野、こっちこい」  中西が吉野を呼んだ。 「お前、課長にフルチンの話をしたらしいじゃないか、課長喜んでたぞ」  吉野の首を揉み解した。 「言わないと殺すって脅されました」  首を解す手に力が入る。 「痛いです」 「いいさ、課長だって事件の解決を期待しているんだ。嘘吐いちゃ駄目だ。だけどなあ吉野、お前のチンチンじゃ刑事になれねえ」 「大きさに関係あるんですか?」 「あああるさ、事件解決したら俺がいいのを紹介してやる。金は要らない、俺の奢りだ。すげえぞう、吸い尽してくれるぞ。まあ楽しみにしてろ」  吉野は頷いてぞっとした。  
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