都橋探偵事情『箱庭』

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「吉野、これを胸に提げろ」  中西がフロントガラスにぶら下る成田山の交通お守りを差し出した。 「なんですかこれ?」 「お前には神様が味方しているってことだ」  言いながら中西が服を脱ぎ始めた。小野田は舌打ちして一緒に脱ぎ始める。吉野は泣きそうな顔でスーツを脱いだ。 「ちゃんと畳んでおけ、ボンネットの上だと風で飛ばされちゃうぞ。重しをしとけ」  中西に怒られる。中西はフルチンである。小野田もフルチンになった。 「パンツもですか?」 「当たりめえだろう、パンツが濡れてたら帰りどうすんだ、いきなりズボンじゃ擦れて感じちゃうよ」  小野田がチンチンをぶるぶると震わせた。 「でも西さんのはいつみてもデカいすねえ」 「これか?これのことか?」  中西が摘まんで持ち上げた。胸の辺りまである。吉野が恥ずかしそうに手で隠している。 「吉野、見せてみろ」  小野田に命令された。ゆっくりと手を外す。 「ばか野郎、なんだそりゃ、勉強して来い」 「勉強ってどういう意味ですか」  中西が吉野の祖チンを摘まんだ。 「いいか、色んなことを経験して人は大きくなるんだ。それはこいつも一緒だ。しごいてしごいてしごき抜いて一人前になるんだ。明日から俺がしごいてやる」 「いや、遠慮します」 「ばか野郎、照れてんじゃねえよ。新人はベテランに甘えてなんぼだ」  小野田が中西に寄った。吉野に聞こえないよう耳元で囁く。 「西さん、最近こっちに興味があるんすか?」  頬に手の甲を当てて笑った。
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