思い出す

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思い出す

 地面に雨が染み渡り、すっかり土が湿った色に変わった頃には、ひいばあちゃんは毎回帰ってくる。 「おや、ケンタ、また大きくなったね」  ひいばあちゃんはタオルで体を拭きながら僕に声をかけた。 「うん! 四月に学校で身長測ったらね、去年より三センチも伸びてたの!」  ひいばあちゃんは顔をくしゃくしゃにしながら笑顔になる。 「そうかい、ハナエさんが毎日美味しいご飯作ってくれるからねぇ、残さず食べるんだよ」  僕が元気に、うん!、と答えると、ひいばあちゃんは掃除機をかけていたお母さんの方に近寄る。 「ハナエさん、雨で濡れたからお風呂いただいていいかい?」 「はーい、いいですよー」  お母さんの返答を聞いて、ひいばあちゃんはお風呂場へと行く。 「毎日雨ならいいのに」  掃除機の音でかき消されるはずのお母さんの呟きが僕には聞こえた。
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