17人が本棚に入れています
本棚に追加
1・二人の行く先は……
しかし、一週間経っても、何処の業界からも連絡が入らない。
歌劇Y&Aの出演を依頼したら他の放送局から敵を作ってしまう。
狭い業界、危険を冒してまで出演させる勇気がなかった。
その時、小さな民放ラジオ局から電話があった。
【新しく出来たラジオ局ですが、宜しければ、出演していただけないでしょうか? 】
「やっと来たぞ!」
「しかし、ジミー、たかが小さいラジオ局ですよ。
もっと、大きなテレビ放送局の方が……」
「そんな、事を言ってられませんよ。」
そしてラジオ収録当日、三人は、ラジオ局に向かった。
「何だ!このオンボロな建物は!」
一人のヨレヨレのスーツを着た青年が出て来た。
【ようこそ、いらしゃいました。
私、ここのサミー・ジョンソンと申します。
私も、審査員でいましたよ。
だから、私にも、出演交渉権は有るんですよ。】
三人は、古びたスタジオに案内された。
収録スタジオに着くと、島崎マネージャーは、辺りを見渡した。
「大丈夫かぁ……
それにしても汚いスタジオだ!
それに、あんな若い青年で……」
【取り敢えず、歌劇Y&Aの収録を撮らせてもらいませんか?】
【ここは、ラジオ局では?】
【歌劇Y&Aを、このスタジオで、一週間まとめ撮りして世界に流すんです。】
「このスタジオで?」
【私達に歌劇Y&Aとの一年契約を結んでくれませんか?
必ず私が、ブロードウェイシアターで公演を実現させます。】
島崎マネージャーは、ジミー・ブラウンに電話を入れて全てを話した。
「ラジオ局の社長と話をしたんですが、若いし、なんか怪しくて、でも一年契約を結んでくれないかと…」
「いいんじゃないですか?
出来たばかりのラジオ局だから、彼らは、勝負に出たんだろう……
吹けば飛ぶような放送局だから、周りの圧力に恐る事もないんだろう……」
今から私は、報道陣の取材に応じるつもりだ。
最初のコメントを投稿しよう!