赤と白3部

19/23
前へ
/23ページ
次へ
 福岡ドーム公演初日、会場は五万二千五百人の観客で超満員に膨れ上がり歌劇Y&Aの登場を待っていた。  初の日本公演とあってファンは、この日を心待ちにしていた。  福岡ドームの屋根は開き、二人は派手にヘリコプターからハシゴで降りて来た。  爆風と凄まじい音で観客は、耳を抑えた。  そして、日本初の歌劇Y&Aの凱旋公演が始まった。  ジミー・ブラウンの演出で日本に無い、新しい歌劇が誕生していた。  福岡歌劇団から五十人のバックダンサーを借り、派手やかにラインダンスから始まった。  二人は、アメリカの修行で経験した、ポールダンスも披露した。  高さ十メールあるポールを、軽々と上がって二人は、逆さまにになったり、回転等のトリック技で場内を熱狂させた。 「まるで、海外でショーを観てるみたいだ!」 「いやっ……  アメリカでも絶賛されたくらいだから、彼女達は本物よ!」  初めて観る二人のショーは、新鮮かつ斬新だった。  そして演劇ではヨーロッパ中世時代の大きくな、お城が福岡ドームに出現した。 「なんだ、あの巨大な城は……」  会場に演劇の前説が流れた。 「それでは、歌劇Y&Aなよる、【心の変化を感じて!】を行います。  演出 ジミー・ブラウン、   出演 歌劇Y&A   「時代を遡り中世ヨーロッパ一六五〇年頃の話。  大きなお城に住む御曹司ジョンと豪邸で働く家政婦ジュリアンの心が入れ替わる不思議な話である……」    二人は、日本でも、最高の演技を披露した。  場内は、二人の演技に酔いしれて、全てのドームツアーは大成功を収めた。   「若菜、私達って人気が落ちるまで、ずっと、こんな状態なのかなぁ……」 「おそらくね……  でも、人気が落ちるのは相当、早いと思うよ。  少しでも気を抜いたらね……」  二人は、ドライフラワーになった薔薇とかすみ草を覗いた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加