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契約が終わり、静まり返った部屋に急に茜が思い出したように若菜の耳元でつぶやいた。
「さっき、サミー・ジョンソン一日、二回の公演て言っていたよね。
無理だよ。出来ないよ!私達。」
「何で?
あっ……
花の匂いは、三時間だった……」
桜木彩奈は部屋に帰り、岡田社長に連絡を入れた。
「契約を結びました。」
「そうですか?ご苦労様。
名誉会長様。」
「実は契約内容が……」
「えっ……
うちが二割なの⁇」
「福岡歌劇団は、シリウス、ペガサス、北斗、オリオン、カシオペアの五つのスターに一週間ずつラスベガスで公演を行ってもらいます。
その間は、福岡でも残った四スターで公演を頑張って貰いましょう。」
「はい、はい。会長様。
全て貴方が決めるようになったのですね。」
「何か問題でも?」
「いえ、いえ……」
二人は、年末の舞台に向け、ジミー・ブラウンの指導のもと猛特訓が始まった。
練習が終わりホテルに桜木彩奈が待っていた。
「ちょっと、話いいかなぁ。」
「はい。
私達の部屋でいいですか?」
若菜は、茜の部屋を案内した。
何故なら、若菜の部屋は、華咲舞並みの散らかり放題。
茜の部屋に入り、桜木彩奈は、冷蔵庫のビールを取り出して、一気に飲み干した。
「ゲプッ…」
すでに、何処かで呑んで来たみたいだ。
「あなた達の演技は、福岡歌劇団の演技とは違うわ!
ジャズにロックに、挙げ句には、歌舞伎ですって?」
《若菜は、酔ってる桜木に、うなずくだけだったが珍しく、茜が桜木に抵抗したそうだ。》
「私達は、福岡歌劇音楽学校で、全てを学び、日本の音楽文化を学びました。
そして、日本の良き文化を世界に通信して世界の素晴らしい物は、日本にも取り入れる事だと思います。」
若菜は、感動した。
桜木彩奈は、机に両手をつき、イビキをかきながら寝ていた。
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