4人が本棚に入れています
本棚に追加
「思い当たる節があるようだね」
「芳雄は七歳の時に人攫いにさらわれて、炭坑に売られそうになっていたところを、碌迷館の主人である畔柳博士に拾ってもらったと言っていました。もしかすると芳雄は畔柳博士に、子供を連れてくるよう脅されているのかもしれません」
「その可能性はあるだろうね」諸戸が頷く。「ワシは彼について調べてみるが、君はもう碌迷館には近づかない方がいいだろう」
「私も一緒に行きます」茉莉は諸戸の目を見つめながら言った。「芳雄を助けたいんです。それに、少年探偵団のみんなも」
『ノスタルジア』は茉莉が現実世界で辛い時や悲しいことがあった時、いつだって画面の向こうから励ましてくれた。芳雄や諸戸、少年探偵団のみんなにどれだけ救われたか分からない。だから彼らが困っているのなら今度は自分が救いたいと思った。
「しかし…」
「私なら芳雄を説得できるかもしれません」
諸戸は少しの間茉莉の瞳を見つめたあと、肩をすくめた。「分かった。ただし危険なことはしないように」
最初のコメントを投稿しよう!