カウンタークロックワイズ

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友達同士で対戦したり、交代したり、協力したりする中で、一人用(ワンプレイヤー)モードでも二人用(ツープレイヤー)モードでも、ともやんとやるのが一番やりやすかった。難しい謎解きでも、手強いボスでも、ともやんと俺ならクリアできた。 大学を出たら戻ってくると思っていたら、就職後のともやんの配属先は東京になった。物理的に、少し疎遠になった時期だ。 もちろん遊びには行った。夜行バスに乗るのは、新しい冒険を始める主人公の気分だった。 東京というダンジョンでは、さぞ美味い店に行けると期待したのに、連れて行かれたのはチェーン店のお好み焼き屋だった。 「東京の粉もん高いねん! 贅沢品や!」 と、ともやんは嘆いていた。 そして運ばれて来た豚玉を見ると、ケロッと表情を変えた。 「まなぶとやないとこんなん食われへんからなぁ」 心から嬉しそうに言ったので、普段は寂しさに耐えているのが伝わってきた。 それも、もう十年前の話だ。 そうこうする内に、まず俺のネーちゃんが結婚して家を出た。直後にオカンが病気で亡くなり、さらに弟も就職のタイミングで実家を離れた。父親は俺が中学を卒業する時にすでに他界していたので、俺は一人になった。 一応、長男として、この家を守っている形だ。俺の生まれる前、昭和後半に建てられた、木造の一軒家は、阪神淡路を持ちこたえたものの、最近の経年劣化が否めない。 家族五人で暮らしていた家を一人で管理するのは、少し骨が折れる。だが、引き払うのが忍びないと言うよりは、諸々の手続きや引っ越しの手間を考えると腰が重く、そのまま暮らしている。どうせ、俺の終の住処になるのだろうから。 今となっては空いている部屋もあるが、ともやんは相変わらず、俺の部屋に泊まる。 色んな物が手の届く範囲に出しっぱなしになって、足の踏み場もほとんどない、この部屋に。
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