カウンタークロックワイズ

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万年床の横にお客さん用の布団をぴったり並べて、その上に座って何かをするのも、昔から変わらない。その何かがゲームか、テレビか、漫画なのも。 強いて言えば、ゲームのハードウェアが時々、据置型から携帯型、もしくはスマートフォンに変わるくらいで、座る場所も同じだ。 時間が止まったような部屋の中では、大人になったともやんより、少し前に買い換えたテレビの方が新しく見える。壁紙は昔から黄ばんでいたのか、煙草のヤニでそうなったのかは憶えていない。 十一月の寒空の下、洗濯物を干して部屋に戻ると、ともやんはパンツ一丁で、布団の上に寝転がって、俺が買っておいた漫画を読んでいた。俺もまだ読んでいないのに。 破られてくしゃくしゃにされた透明セロハンが床に落ちて、エアコンの暖かい風にそよいでいる。 「くつろぎすぎやろ。毎度の事やけど」 思わず言ったが、ともやんは、 「おう、ご苦労さん」 と言うだけだ。 むしろ、うちの家族がいなくなった分、ともやんは年々気を遣わなくなってきている。 来る時は日程の連絡こそあるものの、もうインターホンなんか押さない。郵便受けと玄関扉の隙間に隠してある鍵で勝手に上がり、玄関で靴と一緒に靴下も脱いでしまう。冷蔵庫も勝手に開けるし、風呂にも勝手に入って、パンツ一丁で出てくる。 自由すぎて、俺以外の他人の家でやっていないか心配になるほどだ。 テレビのリモコン、ティッシュ箱、ウェットティッシュケース、綿棒の容器、目薬、爪切り、メガネ拭き、イヤホン、市販の胃薬、病院で処方された薬の紙袋、目覚まし時計……と、床に散乱しているのを大股で避けて、ともやんの隣に行った。 二人で使う大きめの灰皿と着替えを顔の真横に置いてやり、胡座をかいて座る。 「自分、ちゃんとおばちゃんらに連絡しとぉか? たまに俺に聞いて来はるで」
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