カウンタークロックワイズ

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俺は四つん這いで移動して、部屋の隅に隠しておいた段ボール箱を引きずり出した。 「今日はな、ちょっとサプライズあんねん。今度ともやん来たらやろ思て」 「なになに?」 ともやんも四つん這いになって、嬉しそうに寄ってくる。 「今もいけるか分からんけどな。もしかしたら死んどぉかもやわ」 前置きしつつ、箱を開ける。 入っているのは、子供の頃にやり込んだ、大量のゲームカセットだ。据置型のハードも何台か、勿論、コントローラーもある。 屋根裏の納戸にずっとなおされていたもので、どれも古く、今も通電するかは、試していないので分からない。 だが中を見るなり、ともやんは目を輝かせた。豚玉が運ばれてきた時と同じ顔だ。 「うーわ、マジか! ええー! バリ懐かしいんやけど!」 その顔のまま一つ一つ手に取って、眺め始める。 「これとか! うわー……もう死ぬほどやったやんなぁ」 俺はそのともやんを眺めながら説明する。 「こないだネーちゃん来ててや、何や片付けるー言うて納戸ガッサーやった時にあって」 どこの家もそうだろうが、長女というのはしっかり者だ。 俺のネーちゃんも例に漏れず、時々この家に帰ってきては、納戸や庭の物置の片付けをしていく。親の遺品整理や、家を出た自分と弟の部屋の片付けも率先してやっていたくらいなので、そういうのが好きなのだろう。 今はともやんが目を輝かせて見るこの宝物も、危うく捨てられてしまうところだった。 ネーちゃんについて来ていた小学生の甥っ子に見せてやろうとしたが、二人揃って叱られてしまった。 女の人は、早々にゲームや漫画を卒業する。子供の頃はたまに混じってきて、一緒にやっていたくらいだったのに。
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