13人が本棚に入れています
本棚に追加
ともやんが一つ手に取って言った。
「こんなん今プレミアとか付いとんちゃうん」
当時の値段からは考えられないような、本物のお宝も、確かに眠っているかも知れない。
だとしても、手放す気はなかった。
「あほ、なんぼ金積まれたかて渡してたまるか。俺らの青春」
何も考えず、そう口から出ていた。
「青春、物置で埃被っとったんやろ?」
ともやんがすかさず言ってくる。
「まあな。ビンテージ物や」
「ホンマに青春送っとぉ頃、ビンテージなんて言葉使わんかったわ」
それから二人で笑った。
「もうおっさんやな」
そう言うともやんと居るのが楽しいのは、どれだけ歳を取ろうと、一番楽しかった頃の自分に戻れるからだ。
例えるなら、セーブポイントがあって、そこから何度も、同じステージをやり直して遊んでいるような。
最初のコメントを投稿しよう!