カウンタークロックワイズ

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ともやんが一つ手に取って言った。 「こんなん今プレミアとか付いとんちゃうん」 当時の値段からは考えられないような、本物のお宝も、確かに眠っているかも知れない。 だとしても、手放す気はなかった。 「あほ、なんぼ金積まれたかて渡してたまるか。俺らの青春」 何も考えず、そう口から出ていた。 「青春、物置で埃被っとったんやろ?」 ともやんがすかさず言ってくる。 「まあな。ビンテージ(もん)や」 「ホンマに青春送っとぉ頃、ビンテージなんて言葉使わんかったわ」 それから二人で笑った。 「もうおっさんやな」 そう言うともやんと居るのが楽しいのは、どれだけ歳を取ろうと、一番楽しかった頃の自分に戻れるからだ。 例えるなら、セーブポイントがあって、そこから何度も、同じステージをやり直して遊んでいるような。
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