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30XX年。
私たちの星、地球では徐々に人口が減少し、社会の衰退が進んでいた。
しかし、この人口の減少によって、街の風景が千年前より著しく寂しくなったかと言えばそうでもないだろう。
むしろ、以前より賑やかになったとさえ思う。
なぜなら、今世界中に、たくさんの人型ロボットが歩いているからだ。
彼らは『ライクヒューマ』と呼ばれ、もうそれはそれは人間とそっくりである。
見た目はもちろん、思考能力だって人並み、いや人以上かもしれない。
さらに彼らは感情さえも持ち合わせていて、初見で機械であることを判別するのは、最早不可能だ。
それゆえ、彼らと恋をしたいという人間が現れるのにそう時間はかからなかった。
なんせ、彼らはほぼ人間なので。
そういった感情を抱いてしまうこと自体は、仕方がない。
そこで、だ。
自分もロボットになりたい、と願う人間がちらほら見受けられるようになった。
おそらく好いている相手に限りなく近づきたい、という考えからだろう。
これは人同士でもある、おそろい、のもう少し過激バージョンであると俺は捉えていた。
そこでその需要に応えて、ビジネスとして人間のロボット化を行う会社ができた。
そして、そこで社員として働くのが、俺である。
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