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「いっぱい色々経験してきたけどさ、またこれからもあるかも知れねぇけど、お前とだったら乗り越えられる」
だからお前もそう思ってくれ、左足の傷を文字通りの足枷にしないでくれと声音を変えてひっそりと懇願したリオンに一つ頷いたウーヴェは、広い背中に腕を回してしがみつくように抱きしめると己だけが呼べる名を呼んで身を寄せる。
「リーオ、俺の太陽……」
あの日の誓いは嘘では無いしまた思い出させてくれてありがとうとくすんだ金髪に隠れる耳に囁くと、納得と安堵の溜息が顔のすぐ側に零れ落ちる。
「ひでぇぜ、オーヴェ」
「……うん、悪かった」
「許して欲しいのなら、キス」
どんなことがあっても互いを信じ側にいて支え合い手を繋いでいようとの誓いを危うく破ってしまいかねない言葉を吐露したウーヴェにリオンが軽口で許しを与えるが、言葉にしたのは許して欲しいのならばキスをしなさいと言う尊大な命令だった。
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