Langsam!

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 付き合い出した当初、騒々しい空気ーとしか言えない雰囲気ーに戸惑いを感じていたが、その空気がリオン独特のものでありまた特徴でもあると気付いた時から騒々しさよりも温かさや人柄を表すものだと好意的に受け取る様になったのだ。  取り立てて大声を出すわけでもないが何故か言動の一つひとつに大げさなほどの音がついて回っているような感覚に囚われ、人によってはそれを騒々しいと受け取ってしまうのだが、ウーヴェの中ではもはやその騒々しさは必要不可欠な温もりとと共にあり、存在しなかった頃を思い出せないほど当たり前のものとなっていた。  欠点としか思えないそれを心地よく感じるようになった己の心の動きに改めて目を向けたウーヴェはどれほど好きなんだと脳内で自嘲気味に呟かれ、そんな事は俺が聞きたいと己の影に向かって苦笑する。  無意識に左足太ももを撫でて目を軽く伏せ、足を悪くした事件を始め悲喜交々の出来事を二人で時には周囲の力を借りて乗り越えて来たが、その一つひとつの中で育まれ大きくなって来た感情だとぼんやりと思案し、肩越しに二重窓の外へと再び目を向ける。
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