Langsam!

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 どうしてこう俺のダーリンはとくすんだ金髪を掻き毟りながら喚くリオンにウーヴェがくすくすと笑みをこぼし、今日も一日お疲れ様、晩御飯はどうすると問いかけるが、涙の滲んだ目で睨まれて頭を仰け反らせる。 「メシなんかどうでもいい!」  万年欠食児童とからかわれる事もあるリオンの口から流れ出した言葉にウーヴェが軽く目を瞠るが、勢いよく抱きしめられて目を瞬かせる。 「……こら」 「うるせぇ」  出来る事なら四六時中一緒に痛いと思っているお前がそんな事を言うから悪いんだとウーヴェの耳の後ろでリオンが吼える。 「……家に帰ろうか、リオン」 「帰る、今すぐ帰る!」  そしてキッチンに用意されているメシを食う前にお前を食うと涙まじりの声に宣言され、笑みを浮かべたままリオンのくすんだ金髪を撫でたウーヴェは、それも悪く無いとまた素直になってピアスが嵌った耳に囁きかけるのだった。  その後自宅に辿り着き玄関から最も近いリオンの部屋に文字通り転がりこんだ二人は、お互いに呆れてしまうほど貪るように抱き合い、満足した後も付き合いだした頃から変わったようで変わることのない思いを伝えるように互いの体に腕をまわし、今日一日の出来事や週末の予定を話しあうのだった。
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