Hey Honey!

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「……なぁんで今でも呼んだら1ユーロとか言うんだよー」  オーヴェのケチ。結婚もしたし今更なのにどうしてハニーと呼ばせてくれないんだと、憤慨のあまりハニーを連呼するリオンに対しウーヴェは特に何も言わなかったが、感情の爆発が一段落ついた頃、カフェオレ-もちろんリオンが淹れたもの-のマグカップを片手に上目遣いにリオンを見つめる。 「暖炉の上で豚が10ユーロを食べるのを楽しみにしているようだぞ」 「だー! くそー!!」  オーヴェのくそったれ、トイフェル、悪魔とおきまりの罵詈雑言を吐き捨てたリオンは、ウーヴェのターコイズ色の双眸にじろりと睨まれて首を竦め、タバコを買うためにポケットに突っ込んでいた小銭を泣く泣く豚の貯金箱に投入する。  その背中にさすがに気の毒に感じたらしいギュンター・ノルベルトがそれぐらい許してやればどうだとリオンを助けるための船を出すと、ハニーと呼ばれるぐらい構わないだろうとレオポルドがその船のエンジンを始動させる。  だが、その二人の助け船もウーヴェがダメなものはだめだの一言で沈没してしまいそうで、リオンが悲哀を煽るように鼻を啜りつつウーヴェをソファの背もたれ越しに抱きしめる。
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