Dear my friend./ぼくの、友達。

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 リオンの言葉にくすりと笑みを零したウーヴェにリオンが更に笑うが、その時ドアがノックされる音が響いて二人同時にそちらを見つめてしまう。 「リアはもう帰ったよな?」 「ああ。今日は友人と食事をして映画を見ると言っていたからもう帰った」  ならば誰だろうと思いつつウーヴェがどうぞと声を掛けるが、その後ろではリオンが前職時代を彷彿とさせる顔でドアを睨んでいた。  リオンのその顔をもちろん見ることが出来ないウーヴェが再度どうぞと声を僅かに大きくして呼びかけると遠慮がちにドアが開き、隙間から室内光に輝くプラチナブロンドが見えて咄嗟にウーヴェがリオンの腕を振り解いて立ち上がる。 「こんばんは。お邪魔しても良いかな?」 「ルッツ!」  ドアを開けてはにかんだ笑みを浮かべながら挨拶をしてきたのは大学時代からの付き合いがあり、夏の結婚式にも参列してくれた友人のマウリッツで、ここに来ることが本当に珍しいことからウーヴェが満面の笑みになって友人を歓迎するように一歩を踏み出すが、マウリッツの方から大きく一歩を踏み出しウーヴェの痩躯にやんわりと腕を回す。
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