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いやだなー行きたくないなー恥ずかしいなーと助手席で膝を抱えてブチブチと文句を垂れている金髪の低気圧に何度目かの溜息を吐いたのは、午前のどうしても終わらせなければならない業務を全て終えてクリニックを休診にしたウーヴェだった。
昨日の事件が思った以上にリオンの心に傷を与えたのか、あの後家族に一通り事情を説明した時も顔を上げることができないでいたのだ。
そんなリオンをなんとか自宅に連れ帰ったウーヴェは、食事もしないでベッドルームではなく己の部屋に引き籠ろうとするのを阻止するためにベッドルームに連れ込み、強制的にパジャマに着替えさせた後、同じ様にパジャマに着替えてベッドに潜り込んだかと思うと穏やかな寝息が聞こえるまでただ黙って抱きしめていたのだ。
普段ならば一日寝ればスッキリするはずなのに、朝になってもまだ引きずっている様子だったが、両親にちゃんとした謝罪をする為に実家に行くことを心配してメッセージをくれたアリーセ・エリザベスに伝え、嫌がるリオンに何とか朝食を食べさせて車に押し込めたのだ。
己よりも体格の良い超健康優良児を車に押し込める苦労に肩で息をしたウーヴェだったが、車に乗り込んでしまえば大して反抗もせずに大人しくなった為、少しだけ安心して実家への道を車で走っていたのだ。
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