LOVE.

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 だが、家が近づくに連れて俯き加減だった顔が立てた膝の間に挟まれ、その間からぶちぶちと冒頭の不満が垂れ流され始めたのだ。  それが単なる羞恥から来るものだと文句が流れ出して程なくして気付いてしまえば心配することでも不安になることでもないとウーヴェの腹が据わり、いくらでも不満を訴えていろと強気に言い放ってしまうものの、やはり文句や不満の類を聞かされ続けると気持ち良いものでは無かった。  次にもう一度聞こえてくれば対抗手段を取らせてもらうとウーヴェが胸中で呟き少しだけ乱暴にアクセルを踏むと、助手席で途端に安全運転お願いしまーすという軽口が沸き起こる。  その様子に肺の中を空にする様な溜息を零したウーヴェだったが、信号が変わったと同時にリオンが嫌だ行きたくないと呟いた為、可能な限り優しい声でリオンを呼ぶ。 「なあ、リーオ」 「……な、何だよ、オーヴェ?」 「うん、そろそろそれを止めないか?」
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