LOVE.

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「うぅ……親父と兄貴のトイフェル、悪魔」 「は!? どうして俺が悪魔なんだ、リオン!」  羞恥のあまり叫んだ一言にギュンター・ノルベルトが鋭く反応しレオポルドも誰が悪魔だと不満そうに呟くが、悪魔は悪魔だ、悪魔に悪魔といって何が悪いと日頃の鬱憤を今ぶつけていないかとウーヴェが内心ヒヤヒヤする様なことをリオンが呟き、ソファからギュンター・ノルベルトが立ち上がってリオンに詰め寄ろうとする。 「……もう直ぐケーキが焼きあがるのよ、騒ぐのも程々にしてちょうだい」  いい年をした男が二人騒ぐなんて煩いし目障りだわと辛辣な一言で二人の動きを止めたのは、ミカの横でホッと胸をなでおろした安堵から言葉が少しだけキツくなってしまったアリーセ・エリザベスだった。  彼女なりに心配しているがそれを素直に出すほど優しい性格ではなく、ただでなくても図体が大きくて嵩張るのだから大人しくしなさいとも命じると、ドアを開けて入ってきた料理長にケーキが焼きあがったかと問いかける。 「はい。焼き上がりました」 「ありがとう」  焼き上がりと仕上げをするわよと立ち上がったアリーセ・エリザベスは、ケーキを食べたいのなら仲直りしなさい、出来ないのならケーキを食べちゃダメと片目を閉じてリビングを出て行き、残された家族はアリーセ・エリザベスも実は安堵に浮かれているのだと気付くと別に喧嘩をしているわけじゃないとどちらからともなく呟き、ウーヴェがいい音をさせて手を打ち合わせる。
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