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ゾフィーという二人にとっても感情を揺さぶられる存在の女性は、生前の行いからカトリック的な考えでは間違いなく地獄で責め苦を受けているだろうが、そんな彼女を救いたい一心で現世で祈り続ければいつか地獄から救い出されることを疑っていない顔で笑いながら告げるリオンに微苦笑したウーヴェは、じゃあお前より先に俺が逝くときはハシムに真っ先に会いに行こうかと笑みの種類を変えると、青い目を盛大に見開いたリオンがソファから身体を起こして反対と声高に叫ぶ。
「ダメ! 反対!」
「お前は良くて俺はダメなのか?」
「そう! オーヴェは俺よりも一分でも一秒でも長生きしなきゃいけないからダメ!」
ダメだったらダメだ、絶対に許しませんし認めませんと目を吊り上げる己の伴侶の剣幕に呆気に取られて絶句したウーヴェだったが、自然とこみあげてくる笑いを肩で何とか押しとどめながら何だそれはと拳を口元に宛がう。
「オーヴェはベアトリーチェだからな、地獄から煉獄に這い上がった俺を天国に連れて行かなきゃだめだ」
「ベアトリーチェはダンテより先に亡くなっていないか?」
「うん、でもさ、俺はきっと地獄と煉獄にいる時間が長いと思うから、オーヴェはゆっくりしてから来いよ……待った」
神曲の登場人物に自らを準えるのならば俺が先に死んでいないとおかしいと笑うウーヴェにリオンが時間がかかると笑い返すが、ふと何かに気づいた顔で考え込んでしまい、いやいや、ダメだと顔を激しく左右に振る。
「リーオ?」
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