わたしの代わり

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「その、この世の終わりみたいな顔やめてくれる?別に何聞いたって驚きゃしないわよ」 「・・・ホント?」 「たぶん」 「たぶんかい!」 「断言は出来ないわよ。ヤク中ってのは想定内だったけど、そーゆう話でもないんでしょ」 「・・・なぜ想定内だったのか知りたい」 「まあ、今までの事考えてもね。ありえない話でもないでしょ」 「今までの何を考えてそう思ったのか知りたい」 「何って、行動言動とか?言い出したらキリがないわよ」 キリがないくらい、わたしの行動と言動はヤク中感漂っていたのか? 「心外だっ!」 と、そこでビールが運ばれてきた。 「とにかく乾杯しましょ。待ってわ麦男くぅ〜ん」 氷の張ったジョッキをカキンと鳴らし、キンキンに冷えた麦男くんをゴクゴクと喉に流し込む。当たり前だが、わたしのほうが早くジョッキを置く。喉が渇いていたせいか、最初の一口で半分ほど減った。 続いて春香がジョッキを置くと、ほぼ泡だけになっている。まあ、驚く事ではない。2杯目を頼む前にフードメニューを開く。 「あ、あたしフライドポテト食べたかったのよね。頼んでいい?」 「いいね」 「普通のとトリュフ塩あるけど、どっちがいい?」 「んー、わたしは普通のでいいかな」 「じゃあトリュフ塩にしましょ。すみませーん!」 「じゃあの使い方間違ってない?まあいいけど」 「だって同じ料金よ。得してる感あるじゃない」 「わたしは普通のシンプルのが好きだけどね」 「アンタって、そーゆうとこオジサンくさいわよね。冒険しないっていうか、ザ・王道を行くというか」 「手間をかけないで美味しい物が本当に美味しい物だから。おばあちゃんの受け売りだけど」 「ふぅーん。アンタの大好きなおばあちゃんね」 「・・・えっ」そんな事、言ったっけ。 「違うの?だってアンタ、おばあちゃん以外の家族の話しないじゃない」 「・・・あー、そうだったかな。うん、大好きだった」 おばあちゃんの部屋に行くと、眼鏡を下げて上目遣いでわたしを見るあの顔が懐かしい。おばあちゃんの事を思い出すと、今でも会いたくてたまらなくなる。 「ま、わかるけどね。あたしもおばあちゃん子だったし」 「そーなの?」 「うん、親に内緒でよく小遣い貰ってたわ」 「あは、わたしもだ。何処もそうなんだね、じいちゃんばあちゃんは」
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