突撃、お宅訪問?

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リビングへ行き、買ってきた物を冷蔵庫に入れながらふと思った。 なんか、やってる事、彼女っぽい?──いやいや、わたしは瀬野さんに頼まれて来ただけだ。こんな時に不謹慎だぞ。 戸棚からトレイを取り出し、食べられそうな物を適当に見繕って乗せる。キッチンの引き出しからスプーンを取り出し、思った。どこに何があるか把握しているのって、彼女っぽい?──いやいや、前に早坂さんと一緒に洗い物をしたから知っているだけだ。浮ついた頭を振り払う。 その時、ふと目についた物。シンクの中に1つだけグラスがあった。底にはうっすらと琥珀色の液体が残っている。手に取り匂いを嗅ぐと、ウイスキーだ。 洗い残しだろうか。でも、これだけ? 折り返しの階段を上がり2階へ行くと、廊下を挟んで3つの部屋があった。早坂さんに言われた通りすぐ右手の部屋へ向かう。ドアは開けっ放しだ。 「コンコン」手が塞がっていたため口でノックを伝える。「お邪魔します」 部屋に入った最初の感想は──殺風景。広さはそこまででもないが、設置されているのは、窓際の大きなベッドとサイドテーブルだけだ。それと壁一面のクローゼット。 「いらっしゃい」 早坂さんはベッドに横になっていて、わたしを見ると布団を捲った。そして片手を広げる。 「・・・なんですか」 「いらっしゃい」 「来ましたけど」 「ここによ。添い寝してくれるんでしょ?」 「そんなこと、一言も言ってませんが」 「あらそう、残念」 この人、本当に39℃もあるんだろうか。 「ダッハッハッ!雪音、一緒に寝でやれ!」 おばあちゃんはベッドの足元にチョコンと座り、足をブラブラしている。 「何言ってんのおばあちゃん・・・」 サイドテーブルには携帯と体温計と壺のような物が置いてあり、その隣にトレイを置く。 「なんですかコレ?」 「美麗ちゃんのよ」 「・・・あっ!」これはまさか──蓋を取って中を覗くと、やっぱり。青唐辛子だ。 苦い記憶が蘇り、食べてもいないのに口の中がヒリついてきた。 「遊里に食えって言っても食わねー!雪音は食うが?」 「いらないっ!そしておばあちゃん、病人にこんなの食べせたらダメだよ・・・」 「寝てる時に口の中に突っ込まれたわ。噛まなかったからセーフだったけど」 「えええ!?」
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