黎明

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「他に方法があるはずよ」 「1つ、あるな。それが実行できるかはわからんが」 瀬野さんが冷静に言った。 「遊里、正輝の言う通り、あやつを仕留められる確証はない。それに・・・雪音ちゃんは僕とは違う。おそらく、そのアザは瞬く間に広がっていくだろう」 また、早坂さんの手に力が込もった。 ──ああ、こんな顔させたくなかった。 「財前さんだったら、どうしますか」 「とゆーと?」 「財前さんがわたしの立場だったら、どうしますか?」 財前さんは、わたしが聞きたい答えをかわかっている。微かに微笑む目でわかった。 「そうだね。僕が君の立場で、まだ可能性があるとしたら・・・"君と同じ"選択をするかな」 その言葉を聞いて、安心した。 「やります」 「雪音ちゃん」 「早坂さん、これはわたしが決める事です。尊重してくれませんか」 早坂さんの顔が、苦悩に歪む。本当は、早坂さんもそうするべきだとわかっているから。 「お願いします。早坂さん」 早坂さんは、何も言わなかった。 「雪人さん、その薬はいつ用意出来ますか?」 「そうですね・・・それには特定の蛇の生き血が必要になるのですが、今から動けば明日の朝にはご用意出来るかと」 「待って、明日?」 「遊里、1秒でも早いほうがいい。わかるだろ」 こういう時、瀬野さんが居てくれると助かる。 早坂さんは片手でこめかみを押さえ、呻くように息を吐いた。 「遊里さん、これは一刻を争います。アザが進行すれば、薬は意味を成しません」 「・・・薬、ね。彼女を殺すかもしれない薬でしょ」 早坂さんが苛ついているのがわかった。 「雪人さん、確率はどのくらいですかね」 「・・・と言いますと」 「わたしが死ぬ可能性はどれくらいですか?」 「・・・雪音さん、それは・・・」 「雪人さんの見解でいいので、教えてください。何言われても驚かないので」 雪人さんは財前さんを見たが、財前さんは穏やかな顔で目を伏せている。 「先程も言いましたが、私は直接見た事がないので何とも申し上げられません。しかし、私が聞いた話を踏まえて、確立という話で言うのであれば・・・半々・・・50パーセント、と思われます」 「あ、意外と高い」 「・・・え?」口を開けてキョトンとする雪人さんを、また発見した。 「2つに1つって事ですよね。わたしクジ運とかないからちょっと不安だけど、なんか大丈夫な気がしてきました」
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