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出勤したわたしは、更衣室で春香を見るなり後ろから抱きついた。
「わっ!ちょっと・・・イキナリ何!」
「・・・生きて帰ってきたよ、わたし」
「・・・何処から?」
「・・・死の世界?」
「全然意味がわかんないんだけど。てか離れて、着替えが出来ない」
「あい」
「アンタ、この前も変な事言ってたけど大丈夫?」
「うん、解決した」
「法事って嘘でしょ」
「・・・なんで?」
「いや、なんとなく。今ので確信したわ。わかりやす」
「・・・ちょっとね、いろいろあって。やっ!隠してたわけじゃないよ!心配かけたくないから言わなかっただけで!」
「別に聞かないわよ。言いたい事は言うだろうし、余計な詮索はしないから」
また、抱きつきたい衝動に駆られた。
「わたしが休んでる間、店どうだった?」
「メッッチャ忙しかった」
「え、マジ?」
「大マジ。一真くんにだいぶ助けられたわ」
「そっか・・・あ、はいコレ」持っていた紙袋を春香に渡すと、受け取った春香は腕をグンと下に持っていかれた。
「おもっ・・・何よコレ」
「お礼のビール」
春香が中身を確認する。「ビールって、500缶6本!?アンタ、こんな重い物渡されても・・・ありがと」
「一真くんに何あげていいかわかんなくて同じの買ってきたんだけど、今日出るかな?」
「今日は入らないわよ。次は明後日って言ってたわ。っていうか、アンタこれ何処で買ってきたの?」
「え?昨日スーパーで買って家に置いといた」
「家から持ってきたの?2つ?」
「うん」
「いいわね、怪力で」
「身体がなまってたからね、筋トレがてら」
「そしてビールって・・・こーゆう場合オシャレなお菓子とかじゃないの?」
「お菓子より嬉しいでしょ」
「間違いないわ」
「アル中には酒って決まってるから、こーゆう時楽でいいよね」
「いやん!雪音ちゃん、人聞きの悪いこと言わないでん!あたしは、ただのお酒好きな女子よん」
「それで言ったらわたしも当てはまるけど、一緒にはされたくないな」
「プレゼント貰って思い出したけど、アンタそろそろ誕生日よね。何欲しい?」
「お礼の品ね。んー、何もいらないけど、強いて言うなら・・・宝くじの当たり券」
「そんなのあたしも欲しいわ。早坂さんは何くれるのかしらね」
「何も無いよ。知らないから」
「何が?」
「え、誕生日。早坂さん知らないから」
「言えばいいじゃない」
「イチイチ言わないよ。プレゼントくれって言ってるようなもんじゃん」
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