A Man Called Liam. - リアムという男 -

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 リアムを引き連れた慶一朗が向かったのは、二人にとっては懐かしい場所だった。  ドアを開けてそこに出た慶一朗にリアムが懐かしいと素直な感想を零し、目の前に見えてきたベンチテーブルのテーブルに腰を下ろした慶一朗がリアムの言葉に同意するようにテーブルを撫でる。  今慶一朗が尻を乗せているのは、付き合い始めた歓喜からどちらも舞い上がっていた結果だと今ならはっきりと理解出来るが、ここで二人タイミングを何とか合わせてランチを食べていた庭のベンチテーブルだった。 「ここでランチをよく食ってたな」 「そうだな」  過去形で語らなければならないのが腹立たしいがと、伏し目がちだった顔を漸く上げた慶一朗の口元に浮かんでいるのは、先程厳しい言葉を投げかけたドクターの顔から、今朝も行ってこいとキスとハグで互いの背中を押し合って送り出した伴侶のものになっていることを教えてくれる笑みで、リアムの顔にも知らず知らずのうちに笑みが浮かび、手招きされて同じように隣に尻を乗せると、腿の上で手が重ねられる。 「今日はどうしたんだ?」 「ん? うん、ディアナの代わりに会議に出席してきた」 「そうか」 「うん。ケイさんはどうして小児科病棟に?」  お互い意外な場所で遭遇したと笑いながら事情を話すと、慶一朗が空を見上げた後、実はと切り出す。 「……クイーンズランド州の医者達の視察?」 「ああ。ジャックが今対応してる」  何か妙な気がしたからなるべく避けていると肩を竦められ、周囲を素早くリアムが見回した後、同じ素早さで慶一朗の頬にキスをする。 「……」
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