A Man Called Liam. - リアムという男 -

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 突如現れた二人が己の大切な存在に害を与えるものではないことを二人の様子から察したデュークが好奇心を丸出しに近寄ってくるヨンソンとゴードンが差し出す手に鼻先を寄せて匂いから情報を集め始める。  その様子にひとつ安堵の息を吐いたリアムは、いつの間にか帰宅後のルーティーンを終えたらしい慶一朗に大切なことを確かめようと顔を寄せる。 「ディナーをどうする?」 「……何かあるか?」  あなたがリクエストをしたオイスターは食べる準備が出来ているが、さすがに四人で食べるには量が少なすぎるとリアムが思案気に呟き、慶一朗の目が眼鏡の下で申し訳なさに曇ってしまう。 「ああ、大丈夫だからそんな顔をするな、ケイさん」  これでも料理屋の息子だ、不測の事態に備えて色々打つ手はあると笑って慶一朗の頬にキスをしたリアムは、いつも通りキスではなく腰をぎゅっと抱きしめられる返事を受け取り、二人がいるからと気付いて微苦笑する。  今までの己ではダメだと自らに言い聞かせたドイツ帰省時から思えば、今日の午後のように自宅外でのスキンシップも図ってくれるようになったが、さすがに今は突然の出来事にその決意が薄らいでいるようだった。
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